ひろぽん

名探偵コナン 緋色の弾丸のひろぽんのレビュー・感想・評価

名探偵コナン 緋色の弾丸(2021年製作の映画)
3.4
劇場版『名探偵コナン』24作目

4年に一度開かれるスポーツの祭典「WSG ‐ワールド・スポーツ・ゲームス‐」の東京開催を控える日本。大会の開会式に合わせて、最高時速1000kmを誇る世界初の「真空超電導リニア」が開通することが発表された。しかし、スポンサーの集まるパーティー会場で、企業のトップが相次いで拉致される事件が発生する。コナンの推理により、15年前に米ボストンで起きた事件との関連が浮かび上がる。拉致事件の犯人を見つけ出すことができるのかという物語。


今作では赤井ファミリーが勢揃いし、大活躍する。『緋色の弾丸』は何を指しているのか。赤井が放った一発の弾丸の事なのか、それとも真空超電導の事を弾丸に見立てているのか。どちらにせよタイトルのイメージから予想していたものとは違う展開だった。

1番印象的だったのが園子と子どもたちとの会話のシーン。
何でも周囲の大人たちにお願いすれば簡単に手に入ると思っているわがままな少年探偵団の子どもたちに諭す園子の振る舞い方が素晴らしかった。子どもたちには、いつもチケットを手配してくれる園子や、どこへでも連れて行ってくれる阿笠博士の存在が当たり前になっている。そんな子どもたちに、家族を救われたからという報酬を用意し、また公平にするためにクイズで勝ったものに渡すという工夫を凝らしていた。彼女の高校生とは思えない嫌味にならない機転を利かせた大人の対応をする姿に好感を持てた。


個人的に1番好きだったシーンは、蘭がコナンと灰原を帰らせようとしたシーン。
“帰れないわ、子どもだもの”
とコナンに続く灰原のシーンは笑ってしまった。子どもの立場を利用する所は利用してて立ち回りが上手いなと感心する。

いつも雑に扱われているコナンの相棒の灰原が何だか可哀想だった。ぞんざいに扱われており、彼女が不機嫌になる気持ちも分かる。なんで蘭のところに連絡をして灰原のところに連絡をしないのだろうか。

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◇クエンチ
MRI装置の冷却トラブルなどによって液体ヘリウムが急速に蒸発し、白い濃霧を引き起こす現象。

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劇中の白いもくもくと煙が漂っているクエンチのシーンは実はめちゃくちゃ危険で実際に起こり得る事なんだと全く知らなかった。また、エナジードリンクは、栄養成分の中に入っている「ビタミンB2」がブラックライトに反応して蛍光色になるという事実も衝撃だった。クエンチもエナジードリンクのことも知らなかったので、今回もまた豆知識として勉強になった。


今作の見せ場はなんと言っても、赤井のライフルから放たれる特注の弾丸が被弾するまでの完璧なタイミングと、羽田秀吉による5手詰めのカーチェイスが最大の見せ場だと思う。

赤井の1ショットはタイミングや位置が悪ければなんの意味もないものになっているし、羽田秀吉の現実世界を詰将棋に見立てて詰めていくシーンの先読みをする力は凄すぎた。六冠王ならやっぱり5手詰みは余裕そうだ。秀吉の恋人の由美たんとの酔っぱらった絡みがほのぼのしていて好きだった。

いつも迷惑ばかりかけている元太が、警察犬ばりに鼻をきかせて活躍していたのが良かった。


赤いファミリーが活躍する映画としては良いが、ストーリーとしてはイマイチ盛り上がりにかけていて微妙だった。
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