あ

プロミシング・ヤング・ウーマンのあのレビュー・感想・評価

4.6
一切の前情報をいれずに見たほうが絶対にいいと思う。じゃないとあのなんとも言えない居心地の悪さと相反する爽快感は味わえない。

この映画の好きなところは、何かをはっきりさせないことだ。
キャシーが何をしたのかと、ニーナの姿。
わかりやすさが過剰に求められる世の中で、これは大いなるカウンターパンチとなっている。ここで起きた大きなテーマは、非常に単純ではあるけれどその連鎖や歴史は複雑で、多くは曖昧に片付けられている。それは何故かといえば、被害を受けた側が声をあげられなかったからだ。
起きたこと自体も、そこに渦巻く感情も、全てはっきりしないこと。その象徴のような描き方だった。

根底に流れる重みを軽やかに受け止めるかのような美術のポップさ、爽快な音楽(キャシーの最高潮のシーンでブリトニーのあの曲が流れるのが本当に最高。いやほんとに最高。)
そして私が印象的だったのは父だ。
会食のあと、ジェンダー観で言えばもしかしたらプロトタイプかもしれない父がキャシーにかける一言に垣間見える、親から子にしか捧げられない、少したどたどしいもののなんとか救われてほしいという気持ち。キャシーが全編を通してもこのほんの短い時間しか体感できないささやかな幸せが、ここで区切られるという印象的なシーンでもあった。

最近ジェンダー観でもやもやすることが多かったので、このタイミングでこの映画に出会えてよかった。私にあんなことやこんなことを言ってきたり行ってきたあいつやあいつには絶対観てほしいな。

ちなみにパンフレット、悪くはないけど所々のコピーが日本の俗っぽい流行語が散りばめられててちょっとやだ味があった。。

ノマドランドも素晴らしかったけどこっち作品賞でも良かったんじゃないの??
マクドーマンドは言わずもがななんだから、キャリー・マリガンが主演女優賞だろここは!!!
あ