ブタブタ

劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックスのブタブタのレビュー・感想・評価

3.5
円谷英明・著
『ウルトラマンが泣いている――円谷プロの失敗 』(講談社現代新書)
はウルトラマンひいては円谷特撮ファンには必読の名著。
一族企業による放漫経営、才能あるスタッフは失望してどんどん去っていき円谷プロに残ったのは『ウルトラマン』というブランドに群がる寄生虫みたいな連中だけ。
しかしコレって全ての成功した作品に言える事で『エヴァンゲリオン』の庵野秀明がガイナックスを去りカラーって自分の会社を立ち上げたのは『ウルトラマン』の失敗の轍を自らも踏まないようにという結果だと思う。

「特撮には『ウルトラマン』と『仮面ライダー』という二大ブランドがあるがアニメには『ガンダム』しかない。なので『エヴァンゲリオン』をもう1つのブランドにしたい」と、奇しくも元円谷プロ取締役でTVエヴァの大月俊倫(この人も円谷プロに失望し去った一人か…)プロデューサーが言ってたんですけど、そのエヴァの庵野秀明監督が今度はウルトラマン、『シン・ウルトラマン』を作る。
これってディズニーがスターウォーズ買うとかタランティーノがスタートレック撮るとか言うくらい凄い事だと思います。

何となくこじんまりと大した話題もなく終わったTVシリーズ『ウルトラマンタイガ』
でも『タイガ』は最近のウルトラマンの派手派手な、ベリアル等の強力なラスボスが出て来て総力戦でラストバトルみたいなパターンではなくタロウとタイガの親子の物語をバックにしながらメインテーマとしていたのは異星人との共生や、それに伴う偏見や差別という非常に今日的な内容で更に其れは『ウルトラセブン』で繰り返し描かれたものだった。
悪のウルトラマン、トレギアとの精神世界での光と闇の葛藤と相互理解を描いた最終回は最近のウルトラマンでは余り見ないものだった。

で、映画はそのタイガの実質的なもう1つの派手派手な最終回。
所謂『ウルトラマンギンガ』以降の「ニュージェネレーション」は仮面ライダーで言うところの「平成ライダー」に大雑把に繰くれば言えると思うけど、ウルトラマンも漸く昭和の世代のウルトラマンの力を借りずに近作のウルトラマンだけで劇場版を成立させる事が出来るようになった。
劇場版ならではのスペシャル感、劇場版オールライダーにおける突然仮面ライダー達が何の脈絡もなくパラパラと出て来てクライマックスという或る意味時間のない劇場版だから許される無理矢理さが、今回の劇場版『ウルトラマンタイガ』のドラマパートが少しおざなりでもニュージェネ・ウルトラマン達を兎に角登場させて後はフュージョン・合体攻撃の嵐は劇場版ならではの豪華さだった。

タイガでひとつ残念なのは「ホマレ先輩」
ヒューマノイド型宇宙人て事で人間態しかないのはどうなんだろう。
やりようによってはジャグラスジャグラーみたいな人気キャラクターになれたかも知れないのに。
これはウルトラマン近作への希望だけど、光の国に対抗する勢力をそろそろ設定した方がいいのでは。
スタートレックに於けるクリンゴンやロミュナスみたいな。
でジャグラスジャグラーみたいなキャラクターを毎回出すとか。
ホマレ先輩もジャグラーみたいな魔人態に変身して暗躍するみたいな展開だったら超燃えたのに、と思うんですけど其れは今『Z』でジャグラーさんがやってますね。
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