Aiko

グリーン・ライ 〜エコの嘘〜のAikoのレビュー・感想・評価

3.5
私たちは「より環境負荷の少ない、正しい商品を選びたい」と思い日々買うものを選択しています。「お買い物は投票」と言われ、「環境に優しい」ことを謳った商品もかなり増えてきました。
一方で、そういった「環境に優しい」商品は全てが本当にそうなのか?「正しい買い物」をするだけで地球を守ることにつながっているのか?「サステナビリティ」を追求していく上で非常に重要なドキュメンタリーです。
今、まさにこのタイミングで必見の1本だと思います。
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率直な感想は、「私たちは賢い消費者でいなければならない」ということ。
例えば、「エコ」を謳った商品を販売している会社が、環境破壊に繋がるような分野に投資をしていることがあります。
また悲しいことに、私たちが信じている様々な「認証マーク」も、「認証」によって消費者が盲目的になり、本来の企業活動に目を向けさせなくなっている、という側面もあるようです。
「認証が全て隠してくれる」この言葉は私たち消費者にとっては非常に衝撃的です。
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たとえば映画中には「持続可能なパーム油」なるものが登場しますが、「持続可能な」パーム油は無い、とのことです。
また、「サステナビリティ」の重要性を訴えながら炭鉱開発をするRWE(ドイツの炭鉱会社)の様子も。
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「エコ」「サステナブル」「持続可能な」…こういった耳障りの良い言葉に騙されず、その商品にはどのような原材料が使われているのか?その企業は他にどのような事業を行なっているのか?どのような分野に資金提供をしているのか…?を一つ一つ考えていくこと。これらが非常に重要だと改めて感じさせられます。
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私たちに必要なのは、パッケージでもなく、広告でもなく、会社を選ぶことです。企業は自分たちの商品が不要だと思わせないために、サステナビリティをアピールします。コカコーラ、イケア、ネスレ、ユニリーバ…
彼らの事業は本当に「サステナブル」でしょうか?最後の言い訳は、「企業の最大の目的は利益の最大化」です。
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また、個人的に特に印象的だったのが、「環境に良い商品の方がいいに決まっているのに、なぜ環境に配慮しているもの・そうでないものがあるのか?」という問いに対し、「それは法律がないから。本当は、選択を消費者に委ねてはいけない」。というテキサス大学のラージ教授の回答。
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「環境に配慮した商品を選びたい」と思っている消費者の多くは、「一人でできることが少ない」と無力感があり、「できることから…」という思いで「環境に配慮された」商品を購入する。
そこに企業が目をつけ、「これを買えば環境を守れますよ」という商品をどんどん作り出すのだ、ということ。
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「買い物は投票」とセットで「賢い消費者になろう!」ということもどんどん広がってほしいと思います。
Aiko

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