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17歳の瞳に映る世界のPalakのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
3.5
片田舎の保守的な町で妊娠してしまった少女の、中絶手術を求めてニューヨークへ向かい、またそこで過ごすその数日間を描くドラマ。かなり静かな作りで、手持ちっぽいカメラワークや長回しなど、映像的にもいい意味で地味に描かれてて、内容のシリアスさや細かい表情や会話のやりとりを際立たせていてよかった。

(特に田舎町における)中絶への社会的、経済的ハードルや、女性(少女)から見た世の中の危なさが観ていて結構衝撃的。さすがに現実はここまであからさまじゃないと思うけど、もう出てくる男という男が気持ち悪すぎてつらい。主人公の少女は、そうなった原因は匂わされる程度だけどかなり内向的で笑えないし人にも頼れない、傷ついて殻に籠ってしまった人間で、おそらく自己防衛としてそうしているはずなのに結果的にそれによってトラブルを避けられなかったり、助けを避けてしまったりしている。ひとつだけ自発的に選択できた中絶という行為を経て、彼女は自分の何かを変えられたのか。

ジュリア・ホルターの手がけた音楽が映画の閑散とした雰囲気に沁みててよかった。

あとはっきり言及されてないが、あれ父親は父親なんだろうな。つらい。
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