青豆

17歳の瞳に映る世界の青豆のレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
3.9
"17歳"がタイトルに付いている作品て、他の年齢のそれより圧倒的に多くないだろうか。
17歳のカルテ、17歳の肖像、17歳の地図、17歳(オゾン監督)などなど…どれも痛々しくも美しい作品だ。
自分が17歳だった頃からは途方もない時間が経過したけれど、当時聴いていた音楽や読んでいた本、友達と朝までしたしょうもないお喋りの内容や、ボーイフレンドが向けてくれた大きな優しさや、演奏した曲(ブラスバンド部所属テナーサックス担当)のフレーズや、古文の授業にあった美しい一節や…そんな事が今でもありありと思い出される。
17歳という年齢は子どもと大人の境目に位置していて、精神的に未熟でありつつ感受性が豊かであるからこそ、その時の記憶は強烈で誰の心にも色濃く残っているのではないだろうか、良くも悪くも。
作中で起きているような体験を自分はした事がないけれど、それでも彼女たちの恐怖心や疲労感やタフさや諦めに、かつては17歳であった自分の心が反応した気がする。特に柱の裏側で手を繋ぐシーンが結構キツかったのは、もしかすると記憶の底に沈めた何らかの経験が反応したからだろうか。当時の事を思い出すと、穏やかな気持ちになるのと同時に少し切なくなるのは、その古傷によるものなのかもしれない。
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