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17歳の瞳に映る世界のmkのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
3.9
すごく良かった。
映画としても良かったし、学びも多い作品。

同じく女性として生きていても、その状況に直面しないと、中絶について、学校で習う以上に知る機会はあまりないし、映画でここまで詳しく描かれることって今までなかったと思う。知らないことばかりだった。

なぜ、女性側だけがこんなに苦労し、犠牲を払わなければならないのか。この映画を観れば、男性と女性の非対称性に対して、誰もがおかしいと思うはず。私はこの映画を家族で観た。少し気まずくなるけれど、皆が観るべき映画だから、家族や恋人、友達、この映画に興味なさそうな人も巻き込んで観るべきだと思う。

イギリス等、中絶手術を無料で出来る国も存在するのに対して、日本もアメリカと同様で、莫大な金額がかかる。そして、婚姻関係にある場合、配偶者の同意が必要という法律すらもある。SRHRの保障が全くなされていない。

映画の物語の中で、中絶が描かれることはあれど、ここまで「中絶」にフォーカスをあてた映画はないと思う。中絶というワードが出てきても、現代が舞台の作品でさえ、なんだかんだで生む決断をする(産むという選択が賛美される)傾向があるようすら感じる。また、出産のシーンが描かれる映画はそこそこあれど、中絶のシーンが描かれる映画なんてごく僅か。(「燃ゆる女の肖像」とか?) 中絶することは全く悪いことではないし、本人の意思で積極的にこの選択肢を選べるような環境づくりが不可欠であり、映画がその一端を担うことができるのではないか。
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