よしおスタンダード

17歳の瞳に映る世界のよしおスタンダードのネタバレレビュー・内容・結末

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

No.3670

タイトル「NEVER RARELY SOMETIMES ALWAYS」の意味がわかったとき、男性側は何を思うか・・。

オータムを妊娠させた相手が明示されないのは、監督にとって、もはや相手が問題なのではなく、

州によって法律が違ったり、親にも相談できなかったりと、女性側の抱える様々な心身的負担のほうが問題、ということなのであろう。

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しかし、結論からいうと、オータム一人では最後まで行動しきれたかどうか、多分、金銭的に難しかったと思われる。

いとこのスカイラーがあんなに親身でなかったら、オータムはどうしていたのだろう。

それと、この映画の中では結果的に「救世主」になってしまった若い男性。

この映画の中に遍満しているセクハラ男たちの中で、彼だけが一番やさしく、まともに見えてしまっている皮肉。

「男性」に苦しめられてきた彼女らが、結局は不本意にもその「男性」に助けを求めざるを得なかった絶望感。

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オータムとスカイラーが終始シリアスな表情で、何かに困っているかもしれないことに一切気づかず、

あるいは「何か困っていることはないか?」と聞くこともせず、

頭の中では「どうすればこの子たちとイイいことができるか」しか考えていないであろう、この男子の描写は、

「女性のことが何もわかっていない男性性」の象徴で、そのテンプレさには不快感を覚える男性もいるだろう。

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しかも、彼は金銭と引き換えに、スカイラーとキスするという本望を遂げてしまっている

(キスまでで済んでよかったじゃん、と思ってしまった男性諸君、それは結果論であって、私も一瞬、そう思いそうになってしまったが、それもやっぱり間違いなのだ。

だって、「望まない妊娠」をしたオータムを助けるために、本来無関係のはずのスカイラーまでが、「望まない性」を「キス」という形で与えているのは、どう考えても自己矛盾である・・・)

さらにもし彼女がセックスまで要求されていたら、恐らくこの状況ではスカイラーは承諾していたかもしれず、

そういう形でこの困難を乗り越えても、彼女たちは生涯、そのことを後悔するかもしれない。

後悔しても、男性側は誰も責任を取ってくれない。