このレビューはネタバレを含みます
No.3670
タイトル「NEVER RARELY SOMETIMES ALWAYS」の意味がわかったとき、男性側は何を思うか・・。
オータムを妊娠させた相手が明示されないのは、監督にとって、もはや相手が問題なのではなく、
州によって法律が違ったり、親にも相談できなかったりと、女性側の抱える様々な心身的負担のほうが問題、ということなのであろう。
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しかし、結論からいうと、オータム一人では最後まで行動しきれたかどうか、多分、金銭的に難しかったと思われる。
いとこのスカイラーがあんなに親身でなかったら、オータムはどうしていたのだろう。
それと、この映画の中では結果的に「救世主」になってしまった若い男性。
この映画の中に遍満しているセクハラ男たちの中で、彼だけが一番やさしく、まともに見えてしまっている皮肉。
「男性」に苦しめられてきた彼女らが、結局は不本意にもその「男性」に助けを求めざるを得なかった絶望感。
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オータムとスカイラーが終始シリアスな表情で、何かに困っているかもしれないことに一切気づかず、
あるいは「何か困っていることはないか?」と聞くこともせず、
頭の中では「どうすればこの子たちとイイいことができるか」しか考えていないであろう、この男子の描写は、
「女性のことが何もわかっていない男性性」の象徴で、そのテンプレさには不快感を覚える男性もいるだろう。
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しかも、彼は金銭と引き換えに、スカイラーとキスするという本望を遂げてしまっている
(キスまでで済んでよかったじゃん、と思ってしまった男性諸君、それは結果論であって、私も一瞬、そう思いそうになってしまったが、それもやっぱり間違いなのだ。
だって、「望まない妊娠」をしたオータムを助けるために、本来無関係のはずのスカイラーまでが、「望まない性」を「キス」という形で与えているのは、どう考えても自己矛盾である・・・)
さらにもし彼女がセックスまで要求されていたら、恐らくこの状況ではスカイラーは承諾していたかもしれず、
そういう形でこの困難を乗り越えても、彼女たちは生涯、そのことを後悔するかもしれない。
後悔しても、男性側は誰も責任を取ってくれない。