フクイヒロシ

17歳の瞳に映る世界のフクイヒロシのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
4.5
愛想ない不機嫌な17歳だからって冷たくされていいわけじゃないわな。

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セリフ少ないっ!
でも映像も演技もディテールもキャラも豊かだからぜんぜん見れる。

セリフの少なさが、
どんなに語り合っても分かり合えないヤツらと
語り合えわなくても分かり合える人との差が描かれているようで良かった。

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スーツケースのデカさも良かったですね。

決して足取り軽い楽しいほのぼのした旅じゃないもんね。
あのデカスーツケースが彼女らの自由を制限する足鎖の鉄球のように見えた。

登場人物が少ないのもあって
もう1人のキャラクターのようにも見えてきた。

「共に苦しんでる女性たち」を連れて歩いているかのよう。

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原題は『Never Rarely Sometimes Always』。
中絶手術をする前に聞かれる質問から来てる。

相手にコンドームをつけることを拒否されたことがある?
一度もないNever
めったにないRarely
時々あるSometimes
いつもAlways

相手から性行為を強要されたことがある?
一度もないNever
めったにないRarely
時々あるSometimes
いつもAlways

こういう質問ってきっと男性はされないですよね。
女性だけ。
フランス映画『あのこと』で描かれていたような、強烈な性の不均衡を感じます。。

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中絶のできない田舎からバスでニューヨークに来て
ここが自分を自由にしてくれる街だと感じつつも
大都会の厳しさもあるし
キリスト教の保守派が行進してたりするし
なかなか彼女たちが安心できる場所はない。

でもちゃんと調べて助けを求めればあるし、民間支援を使ってお金のことも助けてもらえる。

ここまで辿り着けない女性たちもきっといるかと思うと辛い。

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親友であり従姉妹のスカイラーがあまりにも守護天使のような存在で、正直ちょっとリアリティはない。

リアリティが無さすぎる。
きっとそこには意味がはず。


「こうかな?」と思うことはコメント欄に。