くろさわ

ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりからのくろさわのレビュー・感想・評価

3.8
相手を愛を大切にしたくなる映画

学生時代に偶然出会った二人は10年時を共にしていたが、ラファエル(フランソワ・シビル)は人気作家で忙しく、オリヴィア(ジョセフィーヌ・ジャピ)との距離が開いていた。ある夜、二人は喧嘩し、ラファエルは目を覚ますと作家ではなく学校の教師になっており、妻はまったくの他人になっていた話。

監督ユーゴ・ジェランが自身の結婚生活を見つめながら、一番大切な人に出会わなかったら?と構想して作成された映画。


パラレルワールド系の映画は前振りが結構重要で、人間関係や設定がある程度説明がなければ、世界が変わってもよく分からなくなる。そのため、前振りが長くなる傾向がある印象である。
しかし、ラブセカンドサイトの前振り部分は重要な出会いと10年間のストーリーがMVように纏められていたのが素敵だった。

見終わった後、手にし続けるとその幸せに慣れて、失った時に深く後悔する。そんな後悔はしたくない。世界が変わり、関係性が大きく変わったとしても変わらず愛して続ける相手がいることって美しいと感じた。

特によかったのはフェリックス役のバンジャマン・ラヴェルネが最高の友人過ぎる。
喜劇役者らしい、軽快な動きと表情とテンポがこの映画に笑いを加え、ポップな雰囲気を与えてくれる。
さらに、ただの上機嫌な友人かと思えば、自分の失恋している経験から、愛以上を求めるラファエルに対するセリフが素敵過ぎる。
正直、主役の二人を超えた存在感だと思う。

それと、これは予告編にも出てくるが、もう一つの世界でオリヴィアが10年前に出会いたかったというセリフは、あまりに切なすぎてせこくてよかった。

現実には「もし」とか「あの時出会っていれば」とか考えたところで、昔に戻ることも別の世界に移動することもできない。
だから、こそ後悔なく生きたい。
成功した人や権力を得た人は傲慢になる傾向が強く、パラレルワールドの前と後ではそこの関係が逆になることで、最初から出会うところから、愛を取り戻すことへ必死となる。

謙虚さと相手を想う気持ち、想像力は持ち続けることが愛につながるはず。
手遅れになる前に、想いを伝えるべきだし、冷める切る前に愛は大切にしたいと思える素敵な映画。

見終わった後から知ったけど「ラブ・セカンド・サイト」を通して、主役のラファエル(フランソワ・シビル)とオリヴィア(ジョセフィーヌ・ジャピ)は交際に発展したらしい。映画後の展開も美しすぎるよ。