せいけ

生きちゃったのせいけのレビュー・感想・評価

生きちゃった(2020年製作の映画)
4.5
見るものの神経を逆撫でするような演出に緊張感が高まる
冒頭から忙しなく動く手持ちのカメラアングルとグラグル揺れる置物に嫌な予感が漂う
抑制されたトーンの演出でありながら役者から迸る感情の揺れ動きはしっかり捉えられているのが素晴らしい
かなり余白が多い映画なのでそこはかなり好みが別れそうだが、それゆえに観客へフラットな視点を与えているように思った
セリフの置き方や役者の演技によってその人の背景が全てではなくてもどことなく伝わってくる
伝えるべきことを伝えられなかったことから起きる悲劇の連続
消極的な生き方ゆえに生き残った人たちの懺悔のような感情に発露に心を打たれた