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生きちゃったのumekoのレビュー・感想・評価

生きちゃった(2020年製作の映画)
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観終わった後は茫然としてしまってこの後の予定を考えていたが、これ以上何も考えたく無いのと何も入れたく無いというか何も入れれない状態になった。(意味は違うが宮本から君へ観た後のよう…)

英題の『All the Things We Never Said』通り、感情や互いの気持ちなどほとんど言えずに言葉や感情は制圧に制圧を重ねた後に繋がるラストシーンの気迫が凄まじい

ずっと喉に何かがつまっていて、その〝何か〟は生きづらさだったり、所在の無さだったり、閉塞感だったりするのだろうけど、上手く伝えれなかったり、言わなかったり(『何も知らないでしょ』と言った奈津美が感じているわかり合えなさの先の〝言わない〟も含め)、でもそれでもこんな中で生きていかなくちゃいけない、
そして出会っちゃったから。

子どもの鈴ですら口に出さないって家庭環境もあるのだろうけど、改めて現代を突きつけられた気がして胸が苦しかった。


〝誰かに吐き出せる弱さの強さ〟や〝受け入れられる覚悟の強度〟を持ち合わせてたならこんなにみんな拗らせてないし、鈍感になれたならもっと上手く生きられるはずなのだけど、そんな風にはなかなか出来ないものだよね。


『夜空はいつでも最高密度の青色だ』では感覚の生臭さが私はとても好きだったので、
『町田くんの世界』を観た時は正直合わなすぎてショックだっただけど、
今作の葛藤と衝動だけの感情に溺死してしまいそうな生々しいラストシーンを見せつけられて石井裕也監督やっぱ好きでいさせて…という気持ちです。


半分こしたパピコが眩しすぎてしばらく食べれないかもしれないな…

大賀の抜け落ち系の演技は相変わらず素晴らしいし、若葉竜也は100点なのだけど、この作品は大島優子が一千万点に良い。
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