青豆

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実の青豆のレビュー・感想・評価

3.8
正反対の意見を持つ若者同士が煙草を片手に激論を交わすなんて、親指一つで何でも出来てしまう現代では色々と考えられないような、とてつもない時代が確かに存在したんだな…
何にせよ三島も東大の木村氏も芥氏も、右も左も関係なしに知性と情熱を併せ持つ人間はめちゃくちゃ格好いい。劇中で瀬戸内寂聴も言っているけど、目が凄く綺麗なんだよね。
わたしは霊感的なものは全くない能天気な人間だけど、以前、太陽の塔の中に足を踏み入れた時になんとも言えない、ただならぬ気?エネルギー?みたいなものが渦巻いているように感じた。
画面をとおしてだけどその時と同じような気配を感じ、現在も存在するというこの討論が繰り広げられた東大900番教室に足を運んでみたくなった。
彼の右翼的思想や楯の会についての知識は、故・若松孝二監督の"11.25自決の時"で知り得たものくらいしかないけど(公開時に若松監督と井浦新のトーク付きを観に行き、二人のサイン入りパンフレットを手に入れたのだ(自慢))、初期の代表作は人並みには読んできた。
中でもやはり金閣寺が好きで、それまで見て見ぬふりをしてきた、でも確かに自分の中に存在する歪みや醜さ、人間の本質的な部分が描かれている事に驚きつつ、いたく共感したのだった。
逞しさだけでなく、そのような繊細さを併せ持つ人物であったからこそ時代のカリスマになり得たのだろうと改めて感じました。
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