映画狂人

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実の映画狂人のレビュー・感想・評価

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世界中が革命と闘争に揺れた政治の時代1960年代末期、東大駒場キャンパス900番教室で繰り広げられた伝説の討論会の模様を収めた白熱のドキュメント。
単身敵地へ乗り込み1対1000をやってのけた稀代の文豪にして大スター三島由紀夫の存在感とその知的で穏やかな語り口に飲み込まれる。
知と知が真正面からぶつかり合い混沌のるつぼと化す狂熱のディスカッション、立ち込めるむんむんとした匂いが画面越しにも伝わって来る程の魂の熱量に圧倒された。
ヘルメットを被り火炎瓶片手に闘うだけが闘争ではないのだ、と言わんばかりに腹の底から湧き上がる熱情を言葉を武器にして闘う男たち。
中でも赤ん坊を抱えタバコを燻らし討論会の中心人物となる「芥」という男はまるで反体制を地でゆくロックスターのような魅力に溢れている。
客観的に見たら三島の圧勝だが右翼左翼とイデオロギーは違えど「時代」という共通の敵を認識し闘っているからこそのこの熱さ、監督のフィルモグラフィーを遡ってみると正直ろくでもない作品ばかりで三島を扱うには荷が重いのではと危惧していたが杞憂に終わった。
例え三島由紀夫を知らなくとも体感してみる価値は大いにある、傑作。
三島はこの討論会の1年半後に自衛隊駐屯地にて割腹自決を決行した。
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