いくみ

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のいくみのレビュー・感想・評価

3.9
彼等が何を憂い、何を渇望したのか…平和ボケどっぷり危機感0の私には理解らない。強い信念と突き詰められた思考による"主義"や"思想"は、ときに偏りときに排他的となるかもしれないけど、この主張!この熱量!この討論会においては、素晴らしいものなんだとさえ感じた。あんな自由に言葉を操れるなんてすごいですわよね。しかしまあ、一触即発もおかしくない中、奇跡みたいな時間だよなあ。その点、三島事件は(物理的な意味でも)言葉が届かず、本当に無念だっただろう(賛否はおいておく)。

ただひとつだけ、、、反知性主義といいながらも、抽象的な話や前提としての概念を論ずることばかりに焦点があたるのは(この映像を見るに限り、ではあるが)頭いいやつあるあるなのか?と、即物的考えを優先してしまう私としては、歯痒さもあった。そんな簡単なことじゃねえ!というのも分かるけど、、、うーむ。
どなたかがレビューで仰っていたけど、まさに"アクチュアルな"切り込みという意味では、「三島を殴りに」というベージュブルゾンの彼が発した、"ごちゃごちゃごたく並べてないで現実の関係性を前提に考えなきゃ意味ねえだろ"的な発言が核心をついてくれた気がした(意訳すぎて的外れてたらすいません)。まあ私に限っては、「おめぇが理解できてねえだけじゃねえか馬鹿野郎」の可能性も大いにあることを認めます。

総じて、ドキュメンタリーとして分かりやすく、当時の貴重な映像、そして当事者の貴重なお話もありがたく、おもしろかった。

最後に一言、「秀才同士の討論、シンプルにかっこええ」もういっちょ、「三島由紀夫、人の話さえぎらず聞いててえらい」
いくみ

いくみ