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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のTのレビュー・感想・評価

4.0
初日、初回上映で見てきました。

祝日だけあってコロナウイルスが心配される中でもそこそこ人ははいってましたが、アラフォーの僕が最年少とはっきりわかる客層でした。当時の記憶がある人が見にきてた印象です。

まず映画を見て驚くのは三島由紀夫が優しいこと!こんなに優しい人だとは思わなかった。

若い人たちと積極的に話す話す。そして彼らに対して敬意もある。決して論破して追い詰めよう、嘲笑してやろうなんてしない。やろうと思えばできたろうに、彼らの言葉をしっかり受けて応える姿のなんと優しいことか。

その気持ちが伝播したのか会場の一体感が増してくるのが当時の映像から伝わってくる。

右翼と左翼の対決と煽り文句もあるけれど、この一体感は対決と呼んでいいものか。

こういう「対決」は今のネット上の右派左派対決にも必要だと思う。相手の言葉を受け止める余裕が欲しいし、それに真剣に応える気持ちが欲しい。お互いを見下した「対決」に未来はあるのか。そういう点で、この映像が2019年に見つかって映画を2020年に公開できたことは、とても意義深いと思う。

学がないもんでこの時代の知識は薄いのだけど、そこで内田樹先生の解説がとっても効く。簡潔でわかりやすい。そこに当事者達の現在のインタビューが挟まり当時と今を行き来する。前提となる事件に触れる時には解説映像も、脚注も入れてくれます。

僕でも楽しめたので怯まずに見に行って大丈夫です。

イオンシネマで見て賑やかなイオンの中を通って帰ると、彼らの共通の敵はここにいる僕らなんじゃないかと思えてくるのでお勧めです。
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