いち麦

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のいち麦のレビュー・感想・評価

5.0
討論には右派対左派の理念対決の色は薄く、寧ろ主張の差を超え本当の怒りの対象が対極的な互いの外側にあることを窺わせ非常に興味深い。敬意すら漂う双方の紳士的な振る舞いに、現代での崇高な議論志向気質の喪失を感じずにいられない。弁が立ち頭の切れる芥氏は幼い娘を抱えて登壇する辺り、この討論会の状況把握からして鋭く、討論の外側にも見処が多い。とりわけ現在の当事者達に振り返って貰うことで作り手側のメッセージがしっかり認められていたのも好感。良作のドキュメンタリー。
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