SatoshiFujiwara

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

4.3
三島と東大全共闘の論戦が鬼クソ面白いのは当然として、その間に挟まる現在の当事者と各論者のアティテュードが興味深い。全共闘側でまさにこのイベントを仕掛けた張本人である木村修の一見落ち着いた、しかし未だに全共闘/革命の挫折を完全には飲み込んで「消化」しきれていないかのような雰囲気。芥正彦は論は立つが当時も今も三島に性急に喧嘩を吹っかけて自らの優勢を強調し、必ずしも知性的には見えない(三島を理解しようという気は余りない)。とっくに他界した小阪修平はーその昔フジテレビの深夜枠できたろうと『哲学の傲慢』という番組に出ていた。まだフジの深夜に良くも悪くもスノビッシュな空気があった時代だ。高校生の時分小阪の哲学入門の本を図書室からかっぱらって読み耽ったっけーあくまで柔らかに全共闘と三島の「共闘」について問いかける。橋爪大三郎の悟ったような発言はもろもろの著作に見られる明快な竹を割ったような図式化にも共通するものがあるし、内田樹は興奮気味で楽しそうだ。平野啓一郎は作品を丹念に読み込んだ立場から三島にとっての天皇の意味と文脈の反転について語り非常に示唆に富む。瀬戸内寂聴と小熊英二はオマケ(苦笑)。
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