藤井道人作品で数多くの撮影監督を務めている今村圭佑の初監督作品。
相変わらず光をふんだんに取り入れたエモーショナルな映像が美しい。
23年ぶりに再開した兄弟の解逅はそう簡単なものではなく胸ぐらを掴み怒号を飛ばしあうことでしか歩み寄ることができない。
台湾人の母を持つ主人公にとって皆とは違うことに納得出来ずにその怒りを母親にぶつけてしまったことへの後悔や自分を見捨てて出ていってしまった兄への鬱憤を爆発させる。
自分は日本人なのか台湾人なのか。小さな頃から抱いていた疑問にようやく答えを教えてくれた「どっちでもいい」という小さな言葉。
理解できなかった家族の想いと見つからなかった答えを探す再生の物語に相応しい綺麗な映像作品だった。