映画ペンギン

ビューティフル・カップル 復讐の心理の映画ペンギンのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

大切なものを嬲った少年に復讐を


かなり重い映画です。
元気がある時に見たほうがいい。

◾️あらすじ
マルテとリブはラブラブ夫婦。
マジョルテ島のビーチで仲良く青姦してたところ、それを見ていた若者3人組が夜家に急襲。
金目のものを渡し、出て言ってくれと言うマルテ。
主犯格の少年は「さっきみたいにこの場でヤれ」と。どうやらかなり酔っている模様。
2人とも素っ裸にされ、当然できるわけもないんだが、リブは泣きながらもこの場を切り抜けるため、私は大丈夫よとマルテを抱きしめる。
しかしやはりこの状況でできるわけもなく、イラついたと共にリブの裸に興奮した少年はマルテを蹴っ飛ばし、リブに後ろから覆い被さる。
筆舌に表しがたい事が行われた。
少年たちが去った後は、マルテもリブも死体のように横たわるしかできなかった。

それからしばらくして、
マルテもリブも職場復帰し、かつての生活を取り戻しかけていた。
リブはセラピーに通い、心の回復に努めに努めた結果、癒えた判定を担当医から貰った。
かつてのイチャイチャも取り戻し、これで前に進める。2人はそう思っていた。
しかし、マルテは偶然見てしまう。
夜の街で幸せそうに彼女と歩く、妻を陵辱した少年の姿を。
押さえ込んだつもりの感情が溢れ出す。
信じられないものを見たという顔のままマルテは、そのまま少年を尾行するのだった。


あらすじとしてはこんな感じ。


ここからはネタバレありの感想。




非常に重いテーマなのですが、人生において、処理しきれないほどの悲劇に見舞われた時、人はどう生きていくべきなのか。
赦す事が大切というが、赦すことなんかできない事態を前に、人はどうなってしまうのか。どうするのが正解なのか。
もがき苦しむマルテとリブの苦悩がこれでもかと描写され、とても楽しい気分で観れる映画ではありませんが、映画としてはとてもいいものと思います。
1番の被害者であるリブが赦す事で、もう関わらない、忘れる事で乗り越えようとしてる中、マルテは劇中でも叫んでる通り、「何もなかったフリなんかできない」のです。
実際、内心ではリブも同じでした。
少年の姿を再び見た時、怒りが心に満ちていた。
あまりにも、何事もなかったかのように幸せそうに生活している少年の姿に。
タバコを吸い始め、セラピーは再開することに。
マルテとの関係もかなりギクシャクして、家での生活はとても冷たく重苦しいものになっています。

ですが、最後のシーン。
最後のシーンはとても心に来ました。
こうする事でしか、心は晴れない。
でも、一緒にやっちゃおう。
あのシーンのおかげでこの映画の個人的評価は爆上がりです。
悩み苦悩した2人がようやく辿り着いた場所。

是非実際に見て欲しいです。

自分だったらどうするだろう。
自分は立ち直るのにこんなに苦労してるのに、加害者は元気に楽しそうにしている。
それでも、赦すしかないんだろう。
ずっとそう思ってきましたし、現実としては、そうする以外ないのでしょう。
処理しきれないほどの感情を、相手にぶつけられたらどんなにいいか。
でも、それをしたら大変なことになります。不思議なものです。やられたのはこちら側のはずなのに。
処理しきれないほどの感情をどうにかするために、人には忘却という便利な機能があります。嫌でも時間が解決してくれはする。どれくらい時間がかかるかはわからないけれど。

あなたなら、どうしますか?

宜しくお願いします。
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