ほたる

パピチャ 未来へのランウェイのほたるのレビュー・感想・評価

4.4
「時々叫びたくなるけど、それも出来ないわ」

劇場で怒りと絶望感が込みあがり、何度も泣き叫びたくなった。

パピチャとは”愉快で魅力的で常識に囚われない自由な女性”である。イスラーム原理主義勢力が台頭する中で、ネジュマたちの生活のあらゆる場面で抑圧されていた。そしてネジュマが見せるファッションへの情熱は、象徴を表している。当時の原理主義者たちは、女性の体に覆いをかけようとしていたので、美しい体を見せるファッションは、ネジュマたちにとっては黒いヴェールに対する抵抗である。

私は自分を見つめ直すきっかけになる映画に凄く心を打たれる。登場人物の足取りや冒険を辿りながらいつも感情移入してしまう。なぜなら、様々な障壁や悲劇に立ち向かい、人として成長する姿が好きで、すごく勇気をもらえるから。原理主義に抵抗しながら強くて、立ち向かうネジュマに本当に心を奪われた。この映画は確かに悲劇的な場面も多くて、道中でネジュマは多くの危険に遭遇するが、彼女の生命力や友人たちとの支え合いや友情、愛でネジュマたちが成長していく。


「不安定な状況の中での生きる本能」という定義で監督がこの映画をとったらしい。だからネジュマの視点から物事を捉え、彼女の目を通して他のキャラクターを知るためには、彼女の近いところにカメラを置いて、彼女の動きをことごとく捉えていた。ネジュマの目線を凄く感じ取れるカメラワークだった。

ネジュマたちと一緒に私も自分らしく闘いたいと思った。今でも残る差別に何度も何度も地獄見せられても、何度も何度も立ち直って見せるよ、ネジュマ。一緒に闘う✊
ほたる

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