スクラ

パピチャ 未来へのランウェイのスクラのレビュー・感想・評価

4.5
<今年1番心を揺るがされた映画。なんどくじけそうになっても、イスラム圏の女性たちが抑圧への抵抗を見せる姿が心に響く>

悔しい!悔しい!でも負けない!!たとえどんなに酷い仕打ちを受けて、嗚咽を上げ、恐怖に怯えても、けっして打ちひしがれることなく何度も立ち上がり、イスラム社会の女性に対する抑圧に屈さない主人公ネジュマの姿が本当に勇ましい。

1990年代のアルジェリアを舞台に監督の経験やトラウマを基に「ほぼ実体験に基づく」と表された本作。鑑賞前はイスラム圏の男性と彼らに抑圧された女性たちの二項対立で語られるのかと思っていたけどもっと悲惨な状況だった。

ネジュマたちの敵は男性だけでなく、イスラム原理主義者で黒いヒジャブを常にまとうような女性たちやそのような社会で生きてきて「ムスリムの女性はこうあるべき」と考えている母たちもだったのが衝撃。

彼女たちにとって、友達とのキラキラした日々も死と隣り合わせの日々も日常であることに唖然とした。女子寮を抜け出しておしゃれしてクラブに遊びに行ったり、友達たちとはしゃいだりする姿は年相応の女性のキラキラ感を見せているのに、突如として私たちの日常では考えられない出来事が起こる。それをきっかけに日常が一変するのではなく、たとえ目と鼻の先で銃声が聞こえても、寮の帰り道で爆破テロが起きても、彼女たちの日常は変わらない様に何とも表現し難い感情を抱いた。
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