信じられない傑作。観ている最中、背中と脳味噌に汗をかいた。
序盤から中盤はコテコテのホラー演出を丁寧にやってくれて、少し笑ってしまうほど。あれはワザとだと思う。『ザ・スイッチ』でも感じたが、古臭いと言われていた演出を敢えてやるのが今年のトレンドだったのかな。
そして、中盤からはかなり親切に結末への伏線を貼ってくれて、正直展開の予想はついた。ただ、ヴィジュアルの造形とアクションシーン!あれは予想以上だった。アクションはどうやって撮ったのだろうか?ストーリーを先読みして少し得意になっていた自分をギャフンと言わせてくれた。
ラストシーンでの主人公マディソンの台詞もメタでいい。「彼(真犯人)にできるんだから、私にもできる」。よくあるミステリーやホラーへの皮肉が効いている。全編に散りばめられたこういう小ネタ、骨太なホラー要素、そしてアクション。ジェームズ・ワンだからこそ撮れる作品だ。
最後の最後には続編を匂わせるカットもあった。もし制作されたら面白くなるのかは分からないが、この映画はその意欲を見せていい作品だと思う。「この一作を可能な限り面白くする」という気概が感じられる作品だからこそ、ぜひ続きが見たいと思わせられるのだ。