ウスバカゲソウ

マリグナント 狂暴な悪夢のウスバカゲソウのレビュー・感想・評価

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)
4.0
ジェームズ・ワンの原点回帰であり総決算、ウルトラバイオレントなホラーアクション。
同時にジャンル界隈で目ざましい活躍を続ける盟友リー・ワネルへの回答。
メジャーに行っても俺は昔のままだぜ、的な。

とにかくジャンルの転調が激しく飽きない。
どこへ連れていかれるのか。
何段階かギアが上がるが、終盤のドライブ感は凄い。
ベースとなるジャンルに疎いので漠然としているが。
VHS時代のビデオ屋ホラーコーナーのいなたい禍々しさというか。
見てはいけないものを覗き見る感じ。

監督のテクニックは言わずもがな。
手際のよいキャラ紹介、状況説明。
長回しセットぶち抜き間取り解説は定番。
追跡劇に始まるアクションも見応えがある。
『ソウ』のアップグレード。
クライマックスの大立ち回りは否が応でもアガる。
『アクアマン』のオープニングはこのためだったのか。
ホラー定番外しも笑える。
全体的にユーモア強めなので陰惨さは皆無。
キャラクターの魅力。
不快なキャラは一人もいない。
妹ちゃんの心強さ、抜けの良さ。
刑事のキアヌ感。
裏表のないフレッシュさ。

若干の不謹慎さを感じつつ、時代性を捉えたメッセージ。
束縛や支配から自由を奪い返す話。
察しが良いと大オチは見えてしまうかも知れないが、それでも面白い未知に溢れている。
ただ、過激なホラーへの耐性は必須。