たけ

ミナリのたけのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
4.8
人間は自然と同じように破壊と再生を繰り返し、強く逞しく成長する。現代においては何をするにも"計画"や"前提"が必要。しかし、小さなきっかけでそんな理想は全て崩れ去る。それに真っ向から抗うのではなく、"自然"と共にあり続け、神への"信仰"を忘れないことで、いつか道が開けることを教えてくれた。今の時代にこそ必要なテーマ。

生まれながらにして身体の弱いデビッドが自由奔放なお婆ちゃんとの出会いから変化を遂げるのも印象的。最初は毛嫌いしていたデビッドも次第に心を許していく。デビッドがおねしょをしなくなり、代わりにお婆ちゃんの体調が崩れていくのも、自然の摂理のメタファーかなと。雑魚寝のシーンはかわいい動物の家族のようで素敵だった。

タイトルの"ミナリ"は「たくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められている」とのこと。エンドクレジットに書かれた「すべてのお婆ちゃんに捧ぐ」が1番胸に響いた。

叶えたい夢や野望は山ほどある。その夢のために直向きに頑張ることも素晴らしい。しかし、時には流れに身を任せ、愛する人たちと生涯を共にし、"幸せ"を次の世代に繋げることが生き物/自然の在り方だと思った。自分ももうそんな歳だよなあ。
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