くろさわ

ミナリのくろさわのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.7
将来、自分に家族が出来た時にまた見たい映画。

父親の農業で成功するという夢を追って、アメリカに移民してきた韓国の4人家族。父親は仕事の成功が、家族のためだと信じて取り組むが、母はそれに違和感をもち、言い合いになりながらもアメリカでの生活を送る。祖母も一緒住むようになり、家族内の関係は少しずつ変化していく物語。


ミナリはアンザック監督の半自伝的脚本として作られた映画らしい。

少し前、独身者は人して何か不足していると思われ、結婚し子供がいる家族は人として満たされていると言われたことがある。
しかし、結婚してるからといってだから夫婦は完璧とは限らない。父や母親、祖母だって、どこか欠けているところがある。
それぞれが欠けている部分を支えあうのが家族なんだとミナリは教えてくれた。

今となって共感できる部分があった。それは、父親の仕事の成功=家族への愛、という考え方が自分の父親と思考が似ていた所である。
当時の自分はおそらくデビット同様、そんなことに気付くことなく、夢追う父に対して母が子供の世話ばかりしていて、苦労していたんだろうなとミナリを通して、あらためて気付かされた。

アメリカに移民するという特殊な環境ではなく、よくある家庭を描いた映画かもしれない。

心に刺さったのはラストシーン。
家族よりも仕事を優先していた夫、それに不満をもつ妻、しかし、ラストシーンの妻が見つめていた先。それは夫の愛の形だった。残酷だけど、夫婦の想いを感じれた良いシーンだった。

ちなみに、『ミナリ』とは韓国語で香味野菜のセリを意味し、2度目の旬が最も美味しいことから、子供世代と幸せのために、親世代が懸命に生きる意味が込められているらしい。

まさに、ミナリって映画だ。

ミナリは、おそらく見た人の立場によって、共感する部分が変わり、感じ方も大きく変わると思う。
今、独身の自分が見たけど、将来自分が結婚し、子供ができた後に、また見たいと思った映画