みちみつる

ミナリのみちみつるのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.7
1980年代のアメリカで、農場経営を夢見る韓国系移民一家の日常と苦悩、葛藤を描く。

家族関係の描写や移民生活の困難さが非常にリアルに感じられたのは監督の実体験が基になっているからか。
家族のその後を想像させる余韻の残るラスト。
“ミナリ”はこの家族を象徴する秀逸なタイトルだった。

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様々な社会性あるテーマを含みつつ、普遍的な家族の物語となっていたのが良かった!
移民生活に馴染み無い私でも共感できる描写が多かった。

特に祖母と孫の関係を丁寧に描いているのが良い。
少し変わったおばあちゃん像だったけど、素敵なキャラだった。
おばあちゃんを大切にしようと思いました😊笑

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半分はスティーヴン・ユァン目当ての鑑賞😇笑
ウォーキング・デッドぶりに見たけどやっぱり好きだな🥰グレンのイメージが強すぎて完全には抜けないけど…笑

祖母役ユン・ヨジョンも素晴らしく、独特のおばあちゃん像は樹木希林を彷彿とさせる。
妻役ハン・イェリの表情で魅せる演技も凄く、感情移入して一緒に泣いた…😭子役もみんな上手✨
韓国系俳優の演技、好きだなぁ…

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日本人には馴染みの薄い“移民”というテーマを扱っているので自分の経験や知識だけでは理解しにくい部分もあり、様々な解説サイトを読んで腑に落ちた。
アメリカは移民大国なので、韓国系じゃなくても心に刺さる人が多いんだろうなぁ…

大学で戦時中の日系人強制収容に関する授業を受けたことがあり、詳しい内容はもう覚えてないけど、移民生活は苦労が絶えなかったようでただただ不憫に感じたのは覚えてる。
日本も移民が年々増えているけど、差別的な扱いをせず、どんなバックグラウンドの人も平等に認められる寛容な社会になれば良いなと願う。

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あと、宗教観の違いもリアルに描いていて興味深かった。
信心深いキリスト教徒が登場するが、その人はことあるごとに神に祈りを捧げる。
日本だと“祈祷”、“厄払い”、“地鎮祭”などがそれに近いのだろう。
でも無宗教の主人公はちょっと冷めた目でそれを見ているし非科学的なものを信じていない様子。

これも大学時代、聖書に興味を持ってキリスト教系サークルに入ったことがあったけど、“神の存在”を信じて疑わないクリスチャンと、典型的日本人である自分との宗教観の違いにとにかく驚いてしまって、なんとなく居辛くなりすぐ辞めてしまった。
当時は“神の存在”を真剣に信じていなかったんだと思う。

今なら“神の存在”を信じる人の気持ちもわかる気がする。
非科学的だけど、“存在しないこと”も証明できないし、やはり超自然的な事象も世の中には多くある。

今の自分は神道の宗教観が大好きなので、無神論者というより多神教徒なのかも?笑
なので、お寺や神社にも年数回は通うし、宗教行事も大切にしている。
様々な宗教観を否定せず、受け入れ理解する努力をしたいと感じた。

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久々の長文レビューとなった…
それだけ、様々なテーマがあり、深く考えさせられる良い映画だと思う。