MURANO

ミナリのMURANOのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
4.0
「ハルモニ~(おばあちゃん)」と韓国語で呼ぶ子供の声が印象的に響く。

アーカンソー州に引っ越した韓国人移民家族のもとに、母方の祖母が一緒に暮らすべく韓国からやって来る。

この家族の子供たちは、韓国語もしゃべるけど英語も完璧にしゃべる、アメリカで生まれた移民の子供たち。そこに、韓国育ちが長いおばあちゃんがいきなりやって来てどうなるか、そのやり取りが微笑ましくて面白い。

子供がおばあちゃんのことを「韓国臭い」とか言っちゃったりするのに、おばあちゃんの方も異国の地といえどグイグイと強引に攻めていく感じでね(^^)

子供と打ち解けるところは、おしっこやら、チンチンやら、下らない話こそ効いてるところが、トレーラーハウスに住んでいて豊かではない中で、やっぱり和ませてくれます。

(最近あまり見かけないマウンテン・デュー、飲むときはちょっと躊躇してしまいそうです...)

子供たちとおばあちゃんのこういった楽しいエピソード以外に、夢を追った父親の話、そこに振り回される母親の話と、この環境下で生まれる各々の葛藤が描かれていくので、途中までどこに着地するのかな?と思いながら観ていました。

しかし、クライマックスは映画的に大きく波打って、ものすごくきれいにまとまりますね。ちょっときれいすぎるくらいかもしれないけど(笑)

家族で移住して、いろんな苦労が当然ある中で、助け合って生きていくのが大事。でも、それぞれ個人でもあるので、違う考えも内面では蠢いてきます。

それでも困難を乗り越えて、その地にしっかり根を張っていこう、という希望を感じさせる作品。

タイトルになっている韓国語の「ミナリ」というのは、セリのことだったんですね。これが、象徴的なタイトルになっていました。

ただ、同じA24作品で、中国系移民の話である『フェアウェル』も昨年観たよなぁと思うと、いい話だし素晴らしい着眼点だとも思うけど、既視感あるし...とも思ってしまいました(^^;
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