映画好きの柴犬

ミナリの映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.7
災い転じて...

 農園を開拓することを夢見てアーカンソー州の田舎に越してきた韓国系移民のジェイコブ(スティーヴン・ユアン)一家の生活を描く、ヒューマンドラマ。

 予想以上に地味でモヤモヤする作品。アメリカでは非常に評価が高いらしいが、それは普遍的な開拓民の物語だからということらしい。でも、日本人にはなかなかこの感覚はわからないかも。

 でも、夢ばかり追って甲斐性なしの夫の姿は、同じ男として見ていて辛いものがあった。オープニングからして、堅実な生き方を望む妻(ハン・イェリ)の視線が冷たいのなんの。最初から断絶している家族が、さらにバラバラになっていく様子を延々見せつけられるのは、なかなかきつい。

 そんな家族を引っ掻き回すおばあちゃん(ユン・ヨジュン)がなかなかにワイルド。崩壊しかけの家族に引導を渡しかねないかなりの劇薬だけど、そのおおらかさがカンフル剤になっていくっていうのも、ある意味納得。