GT

ゾッキのGTのレビュー・感想・評価

ゾッキ(2021年製作の映画)
4.7
なんとも言えない雰囲気の群像劇(?)。監督が三人いてそれぞれ別のエピソードを担当しているらしいが、タイトルなどは表示されないためどこか作品の切れ目なのかよくわからない。
基本的に山場もオチもなくダラダラと進行する印象。「ナイト・オン・ザ・プラネット」や「ストレンジャー・ザン・パラダイス」なんかと似たような雰囲気と言ったら分かりやすいか。登場人物たちは基本的に落伍者(友達がいなかったり貧乏だったり)であり、そのエピソードはどれも滑稽ながら、どこか哀しみが漂う。所々で、胸にグッとくるような言葉があって侮れない。「やっぱりココアにしとけば良かった」「これから、そんなことばっかりだぞ」
個々のストーリーが少しだけ接触する、その瞬間が好き。コンビニにて、藤村がある少年を凝視するとその少年は逃げて行ってしまう。鑑賞者はこの時点では「変なやつに見られた」から逃げていってしまったのだと思うが、次のエピソードではこの少年、牧田が主人公となり、その逃げていった理由が明かされる。冒頭で牛乳を派手にぶちまけてタイトルコールをする前島は映画の終盤で牧田の中学時代二番目に好きだった人と判明。こうした人間関係の交錯はセガサターンソフトの「サウンドノベル街」を思い出すんだけど、分かる人はいらっしゃるだろうか…。
GT

GT