Maple

MINAMATAーミナマターのMapleのレビュー・感想・評価

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
3.8
よく史実モノはその国ではなく他国目線の作品になるとなんだか批判されているような感覚になりがちなのだけど自国である日本人の自分から見てもそうした批判的な印象を全く受けず、1人の写真家が現実と対峙した時の何とも言えない虚しさと被害者達の怒りをまっすぐ訴えてくる映画な気がした。

日本が作っていないのにこの説得力。
すんごい
教科書で公害の代表として出てきてテストに出るから知っておく、くらいの感覚しか正直日本人には無いだろう。

被写体の魂だけでなく、撮る側も魂の一部を奪われるって話が特にこの映画ではしっくりくる。
映画1本観るために自分の人生の一部をそれに捧げ、更に映画の中の人物や描写にいちいち一喜一憂し、エンドロールが終わる頃には自分ではない誰かの人生を想う。
この変態的行為を写真家は現実とレンズを通してやり続ける。エグい。

泣くとか泣かないとかそういう話ではなく、これからも起こりうるこうした事態に対してどれだけ関心を持ち、もう二度と起こさない為に仕立てたスーツの下に隠してあるだろう傲慢さと怠慢を克服する人間力は必要だと思う。

公害は人間の質の問題。

そしてシレッと国際俳優になっている國村さんヒャッハー!
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