“あの頃。”と思いを馳せる時期があっただろうか。ハロプロ、アイドルファンに限らず“あの頃”熱中する何かや仲間がいた人に思いっきり刺さる映画。
これは自分の映画だと思わせてしまう今泉力哉監督の手腕はさすが。何よりも本作のキャストが大好きだ!
たくさんの共感ポイントがある作品なんだけど、それをあえてエモーショナルとかドラマチックに見せるのではなく、日常の何気ない出来事のように映し出しているのが素敵だなと。
矛盾するようだけどエモいってこの映画のためにある言葉なんじゃないかなって感じてしまいました。
個人的にこの作品が好きだったポイントって仲間たちとの何気ない日常なんですよね。
ちょっとTwitterとかのタイムライン眺めてると、意外にハロプロに思いを馳せていた人からすると物足りなさがあるのかも。
自分はハロプロには大した思い入れがなくて、若かりし頃の仲間たちとの関係性とかにエモーショナルな感覚を味わったので、ハロプロ熱目的であれば、確かに物足りなさは感じるかも。
というのも前半はアイドルオタクたちの熱さがかなり表現されていたものの、後半はアイドルオタクからの脱却と現実でもがき悩む心持ちにフィーチャーしているので、ハロプロ具合は薄れてきます。
『花束みたいな恋をした』を観た方ならわかるかもしれないんですが、菅田将暉演じる麦くんが就職して以降の理想と現実で揺れる心境。あれに近いかもしれません。
『花束みたいな恋をした』が男女の恋愛を取り上げているとしたら、本作は友情なんですよね。
松坂桃李演じる劔と仲野太賀演じるコズミンの二人がメインなんですが、この二人と仲間たちの関係性が性格は違うものの本物の親友たちみたいで、見ていてとても微笑ましかったんですよね。
個人的なお気に入りは若葉竜也演じる西野。シュールなお笑い要素がツボにハマりました。
大好きな山中崇はかなり個性的なロビという役柄で本作でも他作に負けず劣らずの存在感。
ナカウチ役の芹沢興人やイトウ役のロッチ・コカドケンタロウとみんながみんな全然キャラ違うんだけど、こんな奴らと一緒に過ごしていたら本当に楽しいだろうなって。
大好きでグッときたシーンは劔がコズミンのブロンズ像に手を置くシーン。
これまでの彼らの関係性を考えると、劔の表情も相まってとても感動的な場面でした。
ただ松坂桃李くん…歌下手やなぁ。。
なんとなく賛否は分かれてるなぁという感覚ですが、今泉力哉監督作品の中では『his』の次に好きかもしれません!
次回作、昨年公開延期になった若葉竜也主演の『街の上で』も楽しみです。
※2021年劇場鑑賞17本目