田中裕子さんの主演作で印象が強く残る作品は『火火』『いつか読書する日』に最近では『ひとよ』が印象深いです。
彼女はじっと想いを秘め続ける女性を演じる事がスッカリ嵌まってしまう役者さんだと思います。
前記の作品では一人の男性を長年に亘って思い続けて行く薄幸のヒロインを演じたり、家族の幸せを守るためにジッと自己犠牲を貫く女性を・・・そんな役柄が上手だと感じていました。
今作では子育てを完了させた後に夫に先立たれてしまった高齢女性を演じています。
離れて住む子供は金の援助を依頼する時に顔を出す程度で一人暮らしを如何に充実させるか・・・を模索する生活を描いています。
生活感がリアルでコミカルな展開をも交えながら身に迫る問題を提起させている様な印象で鑑賞しました。
以前の作品の田中さんの思い込んでいる姿とは打って変わった意欲的な思考を抱く女性が良かったです。
高齢者に属する私には身近な問題として受け取りましたが若いレビュアーさんには異次元の問題(笑)と受け取るかもしれませんね。