さらうどん

泣く子はいねぇがのさらうどんのネタバレレビュー・内容・結末

泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

いやな映画だった。いい映画だった。
主人公たすくは何をしてもダメで、逃げてばかりで、情けなくて、頼りなくて、子供だった。その姿が、2歳離れた弟と重なった。うまく生きられなくて、何かあったら逃げようとして、その場しのぎで。ただでさえリアルに現実を描写しているのに、自分の生活に肉薄しているもんだから、観ていて気が気じゃなかった。
お遊戯会を見に行くも、どれが自分の娘か分からずに涙ぐむ姿は本当に情けなかった。悲しい。切ない。あと困ったような笑い方もいやだったな。
この映画を観ていちばん良いと思ったのは吉岡里帆だった。彼女の演技について、以前までは顔や声が過剰だなあと思っていた。ただ今作においては、とても繊細で現実的な演技に思えた。特に、目がよかったな。
ちゃんと生きなきゃなー。ダメでも、大人にならなきゃなーと思った。自分のこれからのことを思い直すきっかけになった、かもしれない。
主題歌である折坂悠太「春」のMVは今作のifストーリーみたいなもので、嬉しいような悲しいような気持ちになった。