「シロクマ効果って知ってます?」
ここに自分語りをさせてください。
長文です。オチもないです。面白い話でもないです。すみません。
でも書かない訳にもいかないんです。許してください。
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僕の初恋は中学一年生の時でした。
ある日、顔が綺麗で仕草が可愛らしい可憐な女の子が視界に入ってしまってしまって、一目惚れをしてしまいました。
そして大変運がいい事にその子も僕の気持ちに精一杯応えてくれて、一年弱ほどお付き合いさせて頂きました。
でも、僕の無鉄砲で計画性のない性格が仇となって、先の見えない関係は終わりにしようと決めて、その時お別れしてしまいました。僕の方から振ってしまったのです。
あとから語ってくれたことですが、彼女は別れた後もしばらくは、僕のことを以前と同様に、いやそれ以上に好いてくれていたようです。僕の方は彼女のことをすっかり諦めたように振舞って、無視したりすることもあったのに。それでも僕を愛してくれていました。
僕と彼女は同じ高校に上がって、2年間はクラスまで同じでした。その頃にはさすがにお互い変に詮索したり気を遣うことも無く話し合える関係にまで戻っていましたし、何なら僕にとってはいちばん僕のことを理解してくれている異性でした。
そうしてダラダラとそんな関係を続けながら、別々の大学に進学。僕が地元に帰ったら一緒に飲みに行く。彼女が大阪に来たら会う。くらいなゆるい感じでお互いを忘れないようにしていました。
しかし、進展があったのは去年の秋頃でした。
というのは、彼女はその頃付き合っていた彼氏から多かれ少なかれ酷い扱いを受けていたらしく、彼女の悲しい話を電話で聞いたり、慰めたりしているうちに、初恋の頃のあの感覚を思い出してしまい、「僕の方が彼女の事を幸せにしてやれるのに…」という、抱いてはならない感情を思い出して、2度目の初恋をしてしまったのです。
彼女はその彼氏と冬に別れ、「梶岡くんがいなければ別れる決心はつかなかった」と、前よりもさらに僕に気持ちを寄せてくれるようになりました。
嬉しかった。純粋に心が踊るのを、自分の身体さえもが感じていました。
でも、彼女にとっての僕は親友とは言えどあくまで元カレであって、ただの過去の恋人に過ぎませんでした。そんなことはいくら愚鈍な僕にも分かっていました。そう、分かっていたんです。
でも、僕も彼女のことが好きだし、彼女も僕のことを悪く思っていないなら、実質付き合っている様なものでした。それに、いつも電話をかけてくるのは彼女の方からでした。「梶岡くんと話していると安心する」と、いつも言ってくれました。これほど幸せな時間はありませんでした。僕のバイトが終わると彼女は毎晩、楽しそうにその日あったことを話してくれたのです。
そんなこんなで彼女が大阪に来た時(今月のアタマの事です)、彼女は僕の家に泊まらせて欲しいと頼んできました。断る理由はありませんでした。僕が彼女を愛しているように、彼女も僕のことを愛してくれているかもしれないと、頭の悪い僕はどうしても期待してしまったからです。
でも、実情は違いました。彼女には好きな人が居たのです。彼女との電話に度々出てくる、「仲のいい先輩」というその登場人物が、彼女の中では「僕にとっての彼女」だということは、自分が認めたくなかっただけで、本当は分かり切っていました。
泊まって三日目の夜に、彼女はそのことを、僕を強く抱きしめ、泣きながら打ち明けてくれました。
気がついた時には自然と、涙は僕の頬をも流れていました。
諦めきれない気持ちと、諦めなければならない気持ち。
自分の初恋の大切さと、彼女の幸せを邪魔したくないという気持ち。
「なんで僕じゃダメなんだ」という気持ちと、「僕じゃダメなんだね」という気持ち。
次の日の朝、彼女が出ていくその朝に、僕は彼女に「さよなら」をしました。
「もう会わない」というのはとても寂しいことだし、辛く苦しい決断でしたが、彼女が目に入ると、僕はまた彼女のことを好きになってしまうのです。
それだけが、馬鹿な僕にでも分かる、唯一の事実でした。
だから、小さく手を振って、できる限りの笑顔で、彼女を見送りました。
「シロクマ効果って知ってます?」
考えないようにすればするほど、その事について考えてしまう現象だそうです。
忘れなければならないと思えば思うほど、忘れられなくなる現象だそうです。
でもさ。
忘れられる訳ないよなぁ!!!
ほんとにほんとに大好きだったんだよ!!!
どうしようもなく大好きだったんだよ!!!
馬鹿野郎!!!
今作の主人公の、なまはげの物悲しい叫び声に、自分のそういう気持ちを重ねてしまい、泣きそうになりました。
でも泣きません。
もう諦めようって、
決めたんです。
『泣く子はいねぇが』
素晴らしい作品でした…!!