Hiro

泣く子はいねぇがのHiroのレビュー・感想・評価

泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)
3.9
「泣く子はいねぇが」
お金も、仕事も、夢も、自分も、責任もない。大人になれないまま大人になってしまった。それでも父親になりたい。そんな話。

正直しんどかったです。たすくの自分のなさとか、不甲斐なさがダイレクトに伝わってきて。太賀さん凄すぎ。お金があれば何とかなるって思っているその幼さも、見ていてしんどかった。

気付いた時にはもう手遅れ。大切なものを大切にするということが、どれ程大変なことであるのか、それにどれだけの責任を伴うことなのか、それを気づけなかったたすくの弱さ。中盤に出てくるシーンは全てラストシーンのためにあった、そんな気がします。

ラストシーン、最近見た映画の中でもトップクラスに良かったです。あれを演じられる太賀さんが凄い。たすくが最後に取った行動が、自分のできるせめてもの行動だったというのもそうですが、その行動にさえ幼さが残るのが、たすくのダメさが表れていて、最後まで辛かった。

台詞も音楽も、必要最低限まで削ぎ落とされ、あくまで役者の表情にフォーカスされているのも凄く良かったです。私も全然大人になれないなぁ…。
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