「泣く子はいねぇが」
お金も、仕事も、夢も、自分も、責任もない。大人になれないまま大人になってしまった。それでも父親になりたい。そんな話。
正直しんどかったです。たすくの自分のなさとか、不甲斐なさがダイレクトに伝わってきて。太賀さん凄すぎ。お金があれば何とかなるって思っているその幼さも、見ていてしんどかった。
気付いた時にはもう手遅れ。大切なものを大切にするということが、どれ程大変なことであるのか、それにどれだけの責任を伴うことなのか、それを気づけなかったたすくの弱さ。中盤に出てくるシーンは全てラストシーンのためにあった、そんな気がします。
ラストシーン、最近見た映画の中でもトップクラスに良かったです。あれを演じられる太賀さんが凄い。たすくが最後に取った行動が、自分のできるせめてもの行動だったというのもそうですが、その行動にさえ幼さが残るのが、たすくのダメさが表れていて、最後まで辛かった。
台詞も音楽も、必要最低限まで削ぎ落とされ、あくまで役者の表情にフォーカスされているのも凄く良かったです。私も全然大人になれないなぁ…。