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パーム・スプリングスのsanchangのネタバレレビュー・内容・結末

パーム・スプリングス(2020年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

サンダンス映画祭で話題になり、イケてるジャケット(リゾートプールに浮かんでビール飲んでるやつ)にアンディサムバーグ、絶対これ好きと思ったら案の定最高だった。昨年は全然当たりのコメディなかったけど、久しぶりに大満足でした。

ストーリーは王道ラブコメの展開にタイムループを掛け合わせたもの。タイムループといっても戻りたい時に戻れるとかじゃなくて、起きたら必ず11月9日の友達の結婚式の朝という設定。

序盤はタイムループ世界の描き方がとてもうまくて、毎日朝起きたら晴天のリゾート地だから最高のはずなんだけど、ナイルズ(アンディサムバーグ)は何万回も同じ日を繰り返してるから退屈そう。けれど妙に結婚式のスピーチとか上手くて、反復することのプラスとマイナスがよく表現されている。

後半は同じタイムループに入り込んだサラ(クリスティンミリオティ)とのラブストーリー。ケンカして結ばれてまたケンカするラブコメの王道。「パルプフィクション」のダンスシーンオマージュや星空の下のキャンプ、時間の迷路に迷い込んだ恐竜など楽しく美しい。

しかしタイムループにより同じ日を繰り返すことは、コロナ禍でイベントの減少や、人との繋がりが狭くなった今ともシンクロする。ナイルズがサラに過去のことを聞かれた時「本当に忘れた」と答えるのが悲しくて、繰り返す日常に自分を見失い、未来への活力すら失ってしまう人、このコロナ禍でも結構いそうだなぁと。けどこれアンディサムバーグだから鬱病にならず、明るく振る舞っていても違和感がないんだと考えると絶妙のキャスティングと思う。

ラストは、もはや元の世界に戻りたくないナイルズと戻りたいサラ。クライマックスの2人のやりとりはウェットだけどある意味ドライでなんか笑いながら泣いちゃう感じがとてもよかった。

すごくよくできた脚本だと思ったけど賞レース絡んでないしそうでもないんかな。脚本だけじゃなくて画面の色彩含めたデザインもサラ役のクリスティンミリオティも魅力的。見たことあるなと思ったらジョンカーニーの「モダンラブ」の1話目の人だった。

一昨年あたりは「アイフィールプリティ」とか「ロマンティックじゃない!?」とかラブコメの進化があったけど去年はなぜかあまり見られず。久しぶりに大当たりのラブコメに出会ったことが嬉しくて早くも今年ベストになりそう。ループの世界から元の世界に戻る時、ロイ(JKシモンズ)にも一言かけてやれよと思ったけどね。
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