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事故物件 恐い間取りのKのネタバレレビュー・内容・結末

事故物件 恐い間取り(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

終始どんなテンションで観ればいいのかわからない映画だった。
悪い意味で、感情が揺さぶられる映画。
間延びした人間ドラマ、美しくない撮影、怖くないホラー演出。
特に酷かったのが、劇伴のあて方だと思う。よくいえばわかりやすく、悪くいえば安っぽい。
もっと悪くいえばダサい。
こんなだっけ?嘘でしょ、ほん怖のドラマのがもっとちゃんとしてない?と思っちゃう。
ほん怖がそこまでちゃんとしてたか記憶は定かではないけど。
いい雰囲気のシーンでは、なんとなーくいい雰囲気の劇伴がただ流れているだけ。
僕の感情がシーンに追いつく前に、劇伴がわかりやすくこのシーンはこっちだよ!と教えてくれる感じ。
劇伴が登場人物の感情にも寄り添えている気がしなくて、とにかくシーンの雰囲気を観客に教えるための機能でしかないのがショッキング。
自主制作映画みたい。そんなはずないよね、と自分の感性が信じられなくなっていく。

肝のホラー部分に関しても、わかりやすさ命!みたいな感じだった。
はい!お化け!はい!幽霊!はい!ここではこんな事件がありました!
ドン!バン!ガシャーン!ウワー!キャー!つって。アホか。
終盤はブッ飛ばしてたんだけど、序盤ですでに心が死んでいるので感情は無。虚無。
あんなにブッ飛ばすなら、白石晃士監督に撮って欲しかったなぁ。
中田秀夫監督のホラーのつもりで観てんだもん。こっちは。
つっても、最近は中田監督もこんな感じだったっけ…?

それにしてもこの映画、誰に向けて作った映画なんだろう。
少なくとも、ホラー映画が観たい!って層に向けては作ってないんだろうなぁと思った。
今の観客のレベルに合わせて作ったのだとしたら、ナメてんなーと思わざるを得ない。
10代の子向け?それとも亀梨君のファン向け?だとしてもナメすぎじゃない?
もっと観客のことを信じてほしい…!そんなにバカじゃないと思うよ。

映画作りは色々な人が携わって、色々な考え方がぶつかり合って混ざり合って進むものだから、
出来上がった作品が歪なものになることも仕方ないと思うんだけど…。でも、でも…。

原作者の松原タニシさんの著書や実話怪談は大好きです。
本当に真摯なホラー映画としての『事故物件 恐い間取り』が観たいです。
『残穢』みたいな。一人の部屋に帰るのが怖くなるような。あーショック。
僕のコンディションが悪かったのかなー。

この映画とは直接は関係ないけど、こうやってがっくり肩を落として映画館を後にするのも、
映画館で映画を観る醍醐味だよなぁ…とは思う。うん、そうだよ。そうそう。
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