JunichiOoya

ふたつの部屋、ふたりの暮らしのJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

3.0
団地(集合住宅)暮らしを始めて来年で60年になります。
先日は『オートクチュール』を見て『レミゼラブル』『ガガーリン』を「団地映画」括りで感じ入ったのですが、住み慣れた集合住宅の中で数少ない苦手アイテムがドアスコープです。
もっとも、60年代はドアにポストの口みたいなガラス窓がついててそこから覗いてましたが。
この映画のようにドアスコープからお向かいの、訪問者の、様子を窺う感覚、よぉ〜く分かります。やってるとほんとに嫌な気分になる、でも覗いてしまう。
で、スコープで覗くって、「高みの見物」っていうか、不可侵的優位みたいなものがあるのですが、その「優位」が物理的な「侵入」「侵犯」に転化していく流れ、のように感じながら見ました。
でも、そのドアスコープの役割もいつの頃からかカメラが取って代わり… それはそれでやっぱり苦手。

実は私はマドレーヌの病は狂言だとずっと思ってたんです。相手がズンズンと自分の領域に入り込んでくることに、心神喪失を装うことでしか対応できない。もちろん子どもたちへの「説明」をペンディングする、という意味からも…。
逆にあの病状がほんとだとすると、ちょっとお話が薄いかなって。

欧州人の顔立ちやことばのアクセントはわからないので、すぐにはその出自に思い至らなかったのですが、ニナ(そうかニナ・ハーゲンのニナか!)が公園でドイツ語の新聞を読むところでムムムとなりました。
ドイツ人でボヘミアンで…

二人が互いに惹かれた「ツボ」みたいなところ、見逃してしまったのかもしれないけれど、知りたかったな、とも。
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