このレビューはネタバレを含みます
美しい映画だった。
BGMやセリフが少ない分、サミアやアブラの繊細な表情の変化や指先の動きから彼女たちの細やかな気持ちの揺れが伝わってくるのが印象的。イスラム圏の女性差別もテーマとして扱っているだけに終始やや重々しい雰囲気。だからこそ時おり見れた笑顔が光って温かい気持ちにさせられた。
モロッコの風景、室内のタイルのデザイン、ルジザをはじめとする伝統的なパンを造るシーンも美しく、「光」の使い方が素敵だった。
ラストシーンの解釈は視聴者に委ねられる形で締め括られる。私はサミアのアダムに対する理屈では説明できない愛情、母性愛に溢れた表情を見て母子ともに前向きな一歩を踏み出したと信じたい。