キヨ

ポゼッサーのキヨのネタバレレビュー・内容・結末

ポゼッサー(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

主人公の務めている企業は、他人の頭に機器を埋め込み、それを活用して他人の意識を乗っ取り、暗殺を実行することを業務としている。
主人公は、そんな企業で暗殺を繰り返している。
ある日、主人公の務める地に本社がある、大企業のCEOとその娘を殺してほしいという依頼が舞い込む。娘の彼氏の人格を乗っ取り、CEOと娘を殺すという筋書きだ。いつもの通り相手の意識を乗っ取り、任務を遂行しようとする主人公であったが、機器の不具合なのか主人公の精神的な問題なのか、意識の同調がどうも上手くいかず…………

自己とか、存在とか、そういう話だった。
他人の意識から離脱するには、宿主であるその他人の死しかないので、任務(暗殺)が終わったら、銃を使い自分で自分(宿主)の頭をぶち抜くしかない。(殺人犯の自殺で片付くようにして捜査が広がらないようにするため)主人公はだんだんそれが出来なくなっていくんだけど、「罪悪感」というものを持っているとやはりこれが上手くいかない。

ラストは、宿主に意識を取り返され、一つの体に宿主と主人公がいる不安定な状況となったまま、宿主が主人公の自宅に赴き、旦那を脅し、真相を知ろうとする。結局旦那は殺され、主人公を助けるために上司が主人公の子供の体を乗っ取り、宿主の体を殺す、子供は宿主に寄って殺されるって言う終わり方をする。

話の冒頭で、主人公は旦那と一緒にいると良くない的な発言をしていたんだけど、不仲とかDVとか言う話ではなく、旦那、子供が枷となり、罪悪感から解き放たれることができないのかなと思った。
仕事が終わった後は、宿主の意識と自分の意識が混濁してないかを、チェックされるんだけれども、冒頭のチェックでは、自分が幼い頃作った蝶の標本に罪悪感を覚えるのに対して、旦那も子供も死んだ後のチェックでは、その標本について何も言及してないので、罪悪感という概念がなくなったと思われるのだけれど、でもじゃあ自分を形作るものの一つである罪悪感がなくなったとき、何をもって自分は自分たり得るんだろうなと思った。
キヨ

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