すみ

MOTHER マザーのすみのレビュー・感想・評価

MOTHER マザー(2020年製作の映画)
3.7
親子共依存の話。
男から見放されても、親から縁を切られても、子供だけは自分を絶対裏切らない。
それをわかっているから絶対に手放さないし、自分以外の世界を知らせたくない、支配下に置きたい。
子供のために生きるのではなくて、自分のために子供を生かす。
執着や依存が混じった歪んだ愛情。

子供からしたら、親はこの世界の全てで、親が子供に縋ると、子供はどうしたって親を見離せない。秋子はその弱みにつけ込んで思い通りに周平を動かす。
親子という呪い、洗脳、一番の精神的暴力とはこういうことだと思った。

周平が小さい時に外の世界と触れ合っていたらまた違ったのかもしれない。けど、小学校すらまともにいけていないとなると本当に秋子が世界の全てで、それが脅かされるとなるとなんでも言いなりになってしまうのは仕方がない。

作中で環境から抜け出すチャンスは何回かあったはずなのに、母親が絡むと本能的に思考が停止してしまって、どうしてもそれができないのだと思う。
まともな祖父母や父親なら子供を母親から無理にでも遠ざけるはずだけど、それがないのがまた可哀想だった。

尺の都合で、5年後、6ヶ月後と唐突に展開が飛ぶのがやや入り込めなかった印象。

長澤まさみが本当にだらしなくて小汚くてアバズレのクズに見えてくるからすごい。歳を取ってもいろんな男と一度は関係を持てる程度の綺麗さもあって、バランスがぴったり。
あとはなんといっても、周平役を演じた奥平くんの色気というか儚さに目を奪われた。

ジャガイモのシーン、秋子の精神の異常さが際立ってゾッとした。
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