もちごろう

MOTHER マザーのもちごろうのレビュー・感想・評価

MOTHER マザー(2020年製作の映画)
3.2
大切なものが一生わからない人たちは、世の中にいるし、そんな親を持った子どもは可哀想だと思う。

一方、祖父母が普通に優しくまともであれば、子どもをあの母親から引き離して自分たちで育てることもできるし(世代間連鎖ぽいので本件ではそこからすでに悲劇)、子どもが優秀というか善悪が分かる子であれば、親に見切りをつけて、さっさとひとり立ちをすることもあるだろうと思う。

また、市役所や児相がもっとしっかり機能していれば、児童虐待として保護することもできるのでは(この辺は法律規則で市役所も大変だとは思うけど)。子どもに対して、親の所有権?が強すぎる日本の制度の弊害だと思う。子どもは社会の宝として、社会で大切に育てていく風潮がもう少し普通に受け入れられても良いのではと思う。

お金を送ってくれていた親戚、面倒を見てくれそうだった親分など、信じても良かった相手は周りにきっと散りばめられていたはず。こういう悲劇で一番悲しいのは、そういう救いの糸に当事者たちが気づけないことではと感じる。愛を送られても、受け取る器がないというか...。

この違いはなんだろう?悲劇的な境遇でも腐らずにもがきながらも、自立できる人とそうでない人がいるのはなんだろう?!共依存だと気付ける人と気付けない人の違いは、ブレイクスルーポイントはなんだろう?観察眼?知的なもの?感性?いつも謎に思います。

んで、こういう悲劇は、母親のせいでも、少年のせいでもあるし、社会システムのせいでも、それを構成する私たち自身に繋がる問題なんだと思う。人の、社会の優しさが、加害少年に届かなかったとき、お互いにその報いを受けるのだと思う。はー重たかった。
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