ゆず

ナイトメア・アリーのゆずのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
3.6
 原作は人間の本質である欲望、喪失、残虐性などを露呈している。

 人間は子どもの頃に潰されてしまうものだと思う。そして生きていくためには、うまく物語を作ったり、人の心を読んだりしないといけません。「金継ぎ」のように、割れてしまったものを継がないと、壊れたままになってしまう。

 スタンは最後には堕ちていくが、安堵感を感じてもいる。やっと息を吐き、ありのままの自分になれたから。もう自分を偽らなくて良いと。そしてこれが自分の運命だと悟る。

 飲んだくれだった父、カーニバルで知り合う残酷な男、人を信じない大金持ち。スタンは劇中に出てくる3人の男性の性格を全部持ち合わせている。だから、彼をとりまく女性も3人で、心の広い占い師のジーナ(T・コレット)、恋に夢中になるモリー、そして敏腕セラピストのC・ブランシェット。彼女らはそれぞれスタンに持続可能な未来を提案するのに、彼は耳を貸さず、彼女らとの関係を壊していくんだ。そして彼は人生のどん底を味わうことになる。
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