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ナイトメア・アリーのYOUのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
4.0
ギレルモ・デル・トロが監督・共同脚本を務めた、2021年公開のサスペンス・スリラー。

・前作『シェイプ・オブ・ウォーター』を観に行った時に心底実感しましたが、私がデル・トロ作品を映画館で観たい最大の理由、それは「死ぬほどカッコ良い画作り」であります。陰影の効いた撮影、青を基調とした色彩、奇怪にして大掛かりなセット、拘り抜かれた美術・衣装など、ノワールをこのなく愛するデル・トロにしか生み出せないこの超カッコ良い画!画!画!とにかくこの画作りだけでも本作は十二分に傑作。

・「曲者揃い」という言葉はこの映画の為にあるのではないかと錯覚してしまう程に、今回はデル・トロ作品でも群を抜く超贅沢な曲者キャスティング。何せ「ギレルモ・デル・トロ監督作品」というテロップに続き「ブラッドリー・クーパー/ケイト・ブランシェット/トニ・コレット/ウィレム・デフォー」らの名前を一気に畳み掛けてくるあの予告編からして超ワクワク。


前述の曲者揃いの話とも通じますが、ユニバース化及び配信作品との連動がますます進む現代の映画界においてここまで手加減無しで毎回自身の趣味や作家性を大炸裂させる現役監督というのも、今となってはデル・トロかタランティーノかウェス・アンダーソンくらいじゃないですかね。なので今だからこそこういう映画が劇場で掛かる事の喜びを私は一層実感していますし、今回もそれはそれは楽しいひと時を堪能させて頂きました。作品ジャンルから画作り、リズムまでが前半と後半ではっきり二分されているのもスリリングで楽しいですし、何より強烈なのは本作全体のテーマをも象徴するあの何とも後味の悪いラスト。ただこれもこと現代において「これ程までの不快感を突きつけられそのまま苦い面持ちで劇場を後にする」という体験を可能にする映画がどれだけ残っているかいう話ですよ。なので私はこの最低過ぎるラストを前にして最大級の賛辞を贈りたくなりましたね。彼らの一回り下にはシャマラン、更にその下にはジョーダン・ピールも居ますし、繰り返しになりますが今だからこそこの一本軸は大切にしていきたいものです。ありがとうデル・トロ!







































































































そしてそんな『ナイトメア・アリー』や『フレンチ・ディスパッチ』も例に漏れず公開から2ヶ月足らずでDisney+により見放題独占配信されましたね。これこそが最大の皮肉なのではないのか。
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