ほむら

無頼のほむらのレビュー・感想・評価

無頼(2020年製作の映画)
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井筒によるエッセイ映画。として読んだ。
時空のイメージは彼の独明断によりひたすら推し進められる。とりわけ、現在時間からの退行(時代モノとしての精度)や、演者の実年齢からの飛躍(未来SFモノとしての精度)などで見られる、時間イメージの精度的倒錯の味わいは、井筒の現在時間におけるエッセイ性(これでいいのだ)をより強く感じさせる。

社会派とも呼べるが、個人派とも言える映画。日本近代史に潜む、集団主義と個人主義の奇妙な融解に似て、一個人の自己近代史もまたその奇妙な融解が映画表出のなかで起きていた。こうした現象学的な気づきの豊かさもある、まごうことなきエッセイ映画だった。
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