真実はいつも闇に葬られる
ビリー・ワイルダー監督、アガサ・クリスティの戯曲『検察側の証人』を原作とした法廷ミステリー。評価も概ね高く、どんでん返しが用意されているとのことで鑑賞。見事に騙されました。ただの「どんでん返し」ですらありません。真実が明らかになった瞬間、思わず「嘘でしょ…」と声を漏らしてしまう始末。これは素晴らしい。
どんでん返しがあるのは勿論ラストパートなのですが、それに至るまでの物語の運び方も非常に面白い。個性豊かな登場人物が揃い、メインとなる法廷シーンに釘付け。検察側ではなく弁護側から事件の真相に迫るので、被告人に対しては「どうか無罪であってくれ」と思いながら観るしかない。
果たしてアリバイはあるのか、証人の発言は本当なのか。誰も、何も信じれないまま衝撃の結末へ。あっぱれじゃ!
アガサ・クリスティといえばどうしても名探偵ポアロが思い浮かびますが、まさか法廷ミステリーの達人でもあったとは。クリスチーネがファム・ファタールの役割を果たしているから実質、法廷版フィルム・ノワールですらある。二重の楽しみ方があります。
ネタバレ厳禁の作品なので、本作のことが気になった方はリサーチする前にすぐ観ましょう!!
2024.3.23 初鑑賞