認知症の描写、複雑な編集、演技、素晴らしかった。
なにより響いたのは、老いや家族についてだけの話ではないところでした。
クライマックスのアンソニーの言葉で、老いも若きも関係なく全ての人に関わる物語だと知った瞬間に涙がこぼれた。
アンソニーホプキンスの演技は我儘で可愛らしく哀れで絶望的に素晴らしかったし、オリヴィアコールマンの顔に光が当たって浮き上がる疲れた肌感も美しい。
ずっしりとしたテーマだけど静けさというよりは、ごく少人数による会話劇で軽快に展開していくのも面白い。
認知症視点の描写は真実を追いすぎるよりも、不安と混乱に身を委ねるのが良いと思いました。
私の祖母も見当識障害で時折私の事を私の母だと思い込んでいたし、50代の父の事をまだ学生だと思っていた。
周囲の誰も彼女の話を否定せず、穏やかに人生を終えたと思っていたけど、心の中はさほど単純ではなかったのかも。
