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ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-のKのレビュー・感想・評価

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「その犯人の名前は…ドクターです」
「ドクター?」
「ドクターです」

この名前ではこんなやり取りが目に浮かぶ。僕がたとえ安楽死を請け負う人間だったとしても、「ドクターデス」は名乗らないだろう。自称するのも恥ずかしいし、依頼主のことを考えても「ドクターデス」なんて胡散臭い名前の奴に頼まない。
かといって、気の利いた名前は浮かばないのが常なのだが。

アメリカの殺人鬼に同様の名を名乗ったヤツがいたようで、なかなかにダサいこの名前はそこから来ている。

尊厳死、安楽死は今後議論していかなければならない重要なテーマである。本作は「死ぬ権利」という言葉も生まれた現代社会に警鐘を鳴らすような作品……ではなかった。
善悪の曖昧な部分を描くのかと勘違いしていたが、観客にもわかりやすい悪であった。よく言えばシンプルで、悪く言えば浅い。
深いと思って気持ちよく飛び込んだプールが、実は水深1.5メートルしかなかった。そんな気分である。
「次からはしっかり水深を確認しろよ!」と僕の教訓にもなり得る作品だった。
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