門倉カド

ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-の門倉カドのレビュー・感想・評価

3.0
雰囲気は純粋なサスペンス。“死ぬ権利”を巡る、葛藤と戦い。

【賛否両論チェック】
賛:前半では“死ぬ権利”の是非について考えさせられる一方で、後半では緊迫感溢れるサスペンスにハラハラさせられる。基本的にはサスペンス好き向けか。
否:後半から急におどろおどろしい展開になり、“安楽死の是非”の論点からは逸れてしまうので、純粋な論議を見たい人には不向き。

 物語の前半は、まさにこの作品の論点ともなりえる、「“死ぬ権利”の是非」というテーマが前面に出ている印象です。自身の命の終わりが近づいた時、その終わり方をどう迎えるべきなのか。そしてそれに手を貸す“ドクター・デス”の行為の賛否も、思わず考えさせられる部分があります。
 しかし後半は一転、それまでの感慨を吹っ飛ばすかのように、急にサスペンス色が全開になって、雰囲気も展開もかなりおどろおどろしくなっていきます。詳しくは是非実際にご覧になっていただきたいのですが、“あの方”の怪演が光っていますね。雰囲気的にはどことなく、「スマホを落としただけなのに」を思い出してしまいました(笑)。
 なので、純粋に“安楽死”について考えさせられるお話というよりは、どちらかというと、緊迫感溢れるサスペンスを楽しみたいという方向けの作品といえるかもしれませんね。
門倉カド

門倉カド